過去のエース・コミュニティ調査について

エース・コミュニティに関する調査は2008年から行われていて、2014年のエース・コミュニティ調査が初めてではありません。このページでは過去の調査、そしてその調査から何を学んだのかを紹介します。過去の調査結果へのリンクはこの記事の最後に載せています。

初めて行われた調査は2008年のAVEN Surveyであるとされています。AVENプロジェクトチームが人口統計学的情報を収集するため、また何が求められているのかを把握するために企画しました。この調査には質問が29項目あり、参加者は300人でした。分析を目的としていなかった事と参加者のプライバシーに関する懸念があった事からしばらく調査の分析は公開されず、将来の調査をどう行っていくかが課題になりました。

最終的には一部の調査結果が2009年に公開されました。きっかけは内部報告書を読んで自身の学術論文で調査を引用したかった著者です。調査結果の一部以外は公開されていません。

その後、Asexual Awareness Week (AAW) が 2011 AAW Asexual Community Censusを2011年に企画しました。この調査の目的はAセクシャルの人が数多く存在すること、そしてLGBTコミュニティの一部だと主張するためでした。参加者は3400人と当時ではAセクシャルの人に関する調査の最大なサンプル数になりました。(以後、UC Campus Climate Surveyに4700人のAセクシャルの人が参加したことで参加者数は追い抜かれましたが、Aセクシャリティに関しての調査結果は分析されていません。)

2011年の調査の予備結果がいくつかは公開されましたが、その他はAVENの一員であるSiggyが問題視するまで分析されませんでした。それからSiggyが分析をし、2012年に公開されました。2011 AAW Censusには問題が数点ありました。ジェンダーや恋愛的指向に関する質問は分析しにくく、質問によっては明らかな政治的な偏向が見られ分析に利用できませんでした。さらにナショナリティとエスニシティに関する質問は自由記述で、国によって解釈の違いがあるため分析しにくく、公開されたのは2014年になりました。

2013年にAAWは新たなAAW Censusを企画しようとしました。2013 AAW Censusは意欲的なプロジェクトで専門家から助言を受けたりIRB審査を受けたりする予定でしたが、調査を作成中に勢いを失いました。

上記の調査とは別でスペインのAVEN、AVENesが企画した調査もあります。Encuesta AVENesとは2011年から毎年行われている調査で、調査結果も公開されています。スペイン語圏のコミュニティのみが対象で、2013年には730人が参加しています。Aセクシャルのコミュニティ内では英語ではない故ほぼ知られていませんが、数年続いている為、成功のモデルです。

そして2014年、エース・コミュニティ調査が開始され、このブログも始まりました。2014年には14,000人が参加し、予備結果が公開されました。これまでの経緯を考えると上手くいくとは限りませんが、エース・コミュニティ調査はこれからも毎年続く予定です。

しかし現在ボランティアが企画しているコミュニティ調査にはたくさんの落とし穴もあります。回答を収集するのは簡単ですが、難点は分析する事です。また分析することを前提に質問を考えなければなりません。正確に調査するには難しいテーマはいくつもあり、調査チームは過去から学ぼうと試みています。とはいえ完璧を目指すのではなく、少しでも未来の調査の参考になればと思っています。

過去の調査結果:

2008年のAVEN Surveyの調査結果

2011年のAAW Surveyの分析とコメント

2013年のEncuesta AVENesの調査結果